藤田のブログ

医療における選択権、医療スタッフの責務など考えたことをまとめます。

理学療法の分野をざっくりと分類してみました。

新人向けセミナーの内容は毎回かなり悩みます。

ついつい「すぐに使える」「カンタンに使える」というような内容にしてしまうのですが、現実的にこういったインスタントな知識だけだと応用が利かず実際の患者さんに使えないということが起こると相談されます。

とはいえ難しい内容にすると新人さんはついてこれないので、講師としては難しいところです。

 

こういったミスマッチを防ぐために、まずはミスマッチの原因を探る試みです。

とりあえず理学療法セミナーのざっくりとした分類を考えてみました。

基礎系

骨格と筋の場所と作用を覚え、触診できるようになる。

武道で言えば初段技。ここにはじまりここに終わる奥の深い分野。

また、日本の学校で習うROMは関節運動学を考慮しておらず現実的ではないので、もう一度学びなおす必要がある。

動作分析

アライメントや基底面などを考慮し、なにが問題かを分析する。

全ての手技に必須の技術にも関わらず、共通のテンプレートが無く難解。

 

基礎+α系(=整形系)

骨格と筋になんらかの操作を加える手技

ストレッチ、カウンターストレイン、トリガーポイント、筋力強化など。

筋緊張を落とす1B抑制、筋硬結をほぐす圧迫、などの、主に筋と脊髄反射に対するアプローチ。これを学ぶことでスポーツ傷害や外傷などの整形系に対応することが可能。

ただし、筋や骨の損傷でも根本の原因はアライメントや運動連鎖なので、『基礎+α系』手技だけだと対処療法になり再発しやすい。

中枢系

脳卒中などの中枢疾患への手技

ボバースやPNF、上田法や川平法など。

脳という未解明のシステムへのアプローチのため、非常に難解で複雑。また、共同運動パターンなどの不可解な問題が生じるため、理解しにくく対策を立てるのも難しい。

とはいえ、中枢疾患は患者の多くを占めるため、難解だからといって避けて通るわけにはいかない。骨や筋肉などの整形系の知識だけで対処しようとすると怪我や痛みにつながる場合もある。

循環器系

呼吸や心臓疾患への手技

PTの行う循環器へのアプローチは主にアライメントや筋へのものなので、厳密には『手技+α系』かもしれない。心電図やPaO2などの数値の読み方などの機材の勉強も必要。

 

 

 

この他、小児や高次脳なども考える必要があるかもしれませんがとりあえず大まかに分類してみました。

これは試作案ですが、こういった分類をもとに新人PT向けにどのような内容を提供していけばいいのか考えていきたいと思います。

まとめ

基礎+α』系は入門として理解しやすくとっつきやすい傾向があります。*1

となると、おそらく新人PTさんは『中枢系』と『動作分析』に苦手意識を持っているのではないかという仮説が導き出されます。私も新人のころはそうだった気がします。

新人PTに求められている内容とは

中枢系に苦手意識を持つ原因は「正解がわからないこと」かな、と思いました。整形の問題はレントゲンで目に見える形にできますが、中枢系の問題は握力計やレントゲンでは計れません。

動作分析も同様です。ROMであれば明確な数値が出るけれど、動作分析は何に注目していいか分からない。

 

最終的にはマニュアル外の対応が求められますが、まず入門としては評価と治療のマニュアルのようなものを作るといいのかなと思いました。

 

 

 

*1:『基礎+α』は初心者でも理解しやすいですが、学び出せばキリのない奥の深い分野です。また、今回は単純にするため 整形=基礎+α としましたが、実際には中枢にも使えますし整形でも使えない場合もあります。やはり分類するというのは難しいですね。