藤田のブログ

医療における選択権、医療スタッフの責務など考えたことをまとめます。

処方箋なしPTが違法である問題について

処方箋なしの理学療法が違法だという見解について、情報が随分と錯綜している様子なのでまとめてみます。

あまりにも誤解をまねくような情報ばかり広まるようであれば弁護士を招いての勉強会なども考えていきたいと考えています。 

 

はじめに、結論

人体に害のない医療類似行為は禁止処罰の対象ではありません。

つまり、まっとうな整体をしていて捕まることはありません。

法解釈について異論のある方は「人体に害のない施術をおこなって有罪判決を受けた事例」を提示してください。

 

法律と判例

あはき法第12条では

医業類似行為について、何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。

と規定されています。これだけ読むと医療類似行為は全て禁止と思う方もいるかもしれませんが、法律は大枠を決めるものであり、具体的に法律がどのように反映されるかに関しては裁判や条例などで細かく決められます。

最高裁判例 

医師や鍼灸師などの国家資格が無い人によるマッサージなどの医療類似行為は取り締まるべきか、そうではないのか、については、

最高裁判所判例 昭和35年1月27日により

『人体に害を及ぼす危険がなければ禁止処罰の対象とならない』

となりました。

最高裁の判決は法律と同等の意味を持ちます。

 

また、平成16年11月04日の厚生労働委員会では厚生労働副大臣

法に規定されない医業類似行為については、人の健康に害を及ぼすおそれのある業務に限局して禁止処罰の対象になる

と解答しています。

また、

そのような(もむ、たたくなどの行為)一般的な業務を行うことの表示を禁止することが合理的であるんだろうかというような点を十分に今後考慮していく必要があると、こういうように考えております。

「もみほぐす」という身体ケアが一般的なものであり有資格者のみに独占される必要はないのではないか、という指摘もされています。

簡単に言うと

医者などの有資格者以外の行う医療類似行為は人の健康に害を及ぼすおそれのある場合のみ禁止されます。

 

事例

平成15年3月に「エーワン」という無資格のマッサージ店が摘発されました。 

 同店の台帳には「ろっ骨にひびが入った」「首が動かなくなった」など二十四件の苦情が記録されてました。県警の照会に対し厚生労働省は、マッサージの定義を

体重をかけ、対象者が痛みを感じる強さで行う行為

と回答。はじめて「マッサージとは何か?」に定義が示されました。

 

 またこの他の摘発も、「子宮筋腫が小さくなる」という効果をうたったものや電気治療で火傷を負わせた事例、わいせつ容疑や外国人違法滞在などの事例です。

厚生労働省の解答通り、「人に害のない」施術をしている場合の摘発・有罪判決は私の調べた限り見当たりませんでした。

※人に害のない施術で有罪判例となったケースをご存知の方はご一報ください。

 

 

そうは言っても法律で明言されていない??

法律とはそもそも、大枠を決めるもので、個々の具体的な事象にどう対応するかは裁判の判例によって決められます。これを理解できず法律の文章が全てだと考えてしまうと「無資格マッサージは違法」と思ってしまうかもしれません。

ですが、繰り返しますが、害のない全うな医療類似行為は法律で禁止されていません。

 

無資格マッサージを野放しにしていいのか問題

現行法上では全く問題ありませんが、知識がなく危険な行為を行ってしまうケースがある以上、無資格の医療類似行為を野放しにしてはいけないという考えもあるかと思います。私もこれには賛成です。

ですが、古来から行われてきた民間療法を完全に規制することは選択の自由を規制する憲法違反です。国が認めたケア以外は選択の自由がないとなるとこれはもう言論統制と言うべきです。

何が駄目で何がいいか、という議論ではなく、当事者が自由に自分の望むケアを選択できる社会を作るためには、一概に全て駄目というのではなく何が安全で何が危険かを明確にし安全に施術を受けられるインフラを作るべきだと私は考えています。

 

 

患者の自由を守るために

現状の論議では、もしも国が認めた身体ケアだけが合法ということになれば、国民の選択権を国家が完全に支配していることになるという視点が見落とされています。

 

職業や娯楽は自由に選ぶことができるのに、自分の体に関しては国が決めたものしか選べないというのはおかしい理屈です。

 

もしも今後PTの開業についてや無資格施術について不当な扱いが合った場合、司法の場で国民の判断を仰ぐことも視野にいれていきたいと考えています。

 

 

 

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